起業したときに取りがちな行動のひとつに、交流会に参加するというものがある。仕事の獲得はもちろん、協業して自分の商品を営業してもらう相手がいないかと参加する。
ここでひとつ注意したいことがある。それは、協業者を探して自分の商品を営業してもらおうと考えることについてだ。知名度のある企業であれば、こういった方法は有効であるが、どこの者とも分からない人の商品をそう簡単に他人が売ってくれるだろうか?
逆を考えてみると分かりやすい。あなたは、よく分からない他人の商品を積極的に営業しにいくだろうか?おそらくいかないはずである。
営業活動はNOの連続であり、もともと営業をやっていた者でなければハードである。だから、自分が営業しなくてもいい方法である“協業“という道を安易に選んでしまう。
しかし、協業できる段階というのは、スタートしたばかりの初期の段階ではなく、実績を積んだあとの段階である。実績があってこそ人がついてくるのである。
なぜなら、人はメリットではなくベネフィットで動くからである。
メリット、ベネフィットという言葉はビジネスでよく使われているが、この言葉は似ているようで意味が全く違う。
メリットとは、商品やサービスの特徴や強みのことである。ベネフィットとは、その特徴や強みによって得られる体験である。そして、人はベネフィットに心が動かされるのだ。そう考えると、初期の段階でいくら自分の商品の特徴や強みを話したところで、どこの者とも分からない人の商品のベネフィットまでを描いてもらうことはなかなか至難である。
私は、起業したときに決めた“やらないこと”のなかに、交流会には行かないという項目があった。参加すれば広がった可能性もあるかもしれない。しかし、まずは自分自身で自分を売れるようになるということにこだわった。
そして、自分自身のことができるようになると、色々な人とタッグを組んでの仕事へと変化していった。また、協業していなくとも顧客を紹介してもらうこともある。
営業活動はハードかもしれないが、商売をしていくには欠かせない。いっときの苦しさから逃げず、そして実績があってこそ人がついてくるという基本的なことを忘れず、自分の商品はまずは自分が売っていく力をつけよう。