あなたが売り込みをしていて、得意でないことや経験がないことを相談されたとき、どのような回答をしているだろうか?
目の前の仕事が欲しい、自分を大きく見せたいという気持ちが先走り、安易に「できます。任せてください。」と答えてしまってはいないだろうか?
もちろん、新たなチャレンジとして取り組んでみようとするのはいい。しかし、ここで相手としっかりと調整をしなければならないことがある。
それは、期待値である。これを怠ると、万が一できなかったとき、信用を完全に失ってしまう。
なぜなら、フツウの味は、三ツ星レストランでは不味いと言われ、いまにも潰れそうな古びたレストランでは美味しいと言われるからだ。
私は、未経験の分野でもいろいろな仕事を受けている。相談されたことは経験の有無に関わらずチャレンジしてみる。しかし、打ち合わせの段階で、必ず期待値調整をする。自分を大きくも小さくも見せない。事実をそのまま伝えるのだ。
そして、さらにここで気をつけなければならないことがある。「できる」「できない」という表現の捉え方は、人の感覚に大きく左右されるということだ。だから、具体的に話をして調整する必要がある。
ある未経験の仕事を受けたとき、最初に期待値調整をし、こちらのレベル感を理解してもらえたと思っていた。しかし、わからないことを質問したときに、相手が「これくらいは基礎中の基礎だから、分かっていると思っていた」と言ったのだ。そのときに、気づいたのだ。まったく未知の分野だ、何の知識も持っていないレベルだと伝えたとしても、相手は相手の尺度で勝手に基準をつくりあげるものなのだと。
念には念をで、しっかり認識を合わせて期待値を調整する。そうすることで、自分の可能性と逃げ道をうまくつくって動きやすくなる。信用をつくることは一朝一夕にはできない。なんでも「できます」アピールはやめよう。