人は得意なことを伸ばすほうが、苦手なことをどうにかしようとするよりも成長がはやい。また、餅屋は餅屋にというように、できないことや苦手意識が強いことは、得意な人に任せてしまうほうが、時間もムダなく使えるし、品質も担保できる。
しかし、いくら得意なことをやるといっても、その中でやりたくないこととも向き合わなければならない。それから逃げて、心地よいことだけしかしないというのは仕事では通用しない。
私は、やりたいことはないのだが、やりたくないことはたくさんある。やりたいことを聞かれても答えに行き詰まるのだが、やりたくないことは、駄々をこねる子どものように、次から次へと出てくる。
それもあって、嫌なことや苦手なことがあると、「それはやりたくないことだから」「興味ないから」とすぐ目を背けていた。
しかし、そうやって目を背けても、また何かチャレンジしようとすると、同じ壁が出てくるのである。前にもこんなことがあったなと思うことが起こるのである。でも、嫌だからと逃げる。しかし、またやってくる。その繰り返しに気づいてから、次のステップにいくために、逃げられない“課題”というものがあるのだと思うようになった。何とかうまく逃げられないかと考えてもみたが、“逃げられないもの”というものがあるらしいと分かってきたのである。
ようやくそういう課題と向き合えるようになったのは起業してからである。なんと遅いことか…。30代半ばである。自分自身で稼いでいかなければならないという状況になったことで、逃げてはいられなくなったからである。
得意なことを活かして新しいチャレンジの機会を与えられるときほど、嫌なこともセットなのである。最初は、どうしても嫌だなという気持ちのほうが出てしまう。しかし、その気持ちに負けずに向き合っていくと、手応えのある成果を得られるようになってきたのだ。
いまでも逃げてしまうこともある。何度かのチャレンジでようやく向き合えることもある。
また、私はたくさんのことから逃げてきたから、今さらこんなことに向き合わなければならないのか・・・と思うこともたくさんある。逃げてきた“ツケ”である。そうすると、変にプライドが邪魔をすることもある。厄介なものである。
得意なことを活かしていくことは大事なことである。しかし、仕事ともなれば、得意なことを心地よい範囲だけでやれることは少ない。嫌なことややりたくないこともやっていかなければならないし、それと向き合ってこそ得意なことがさらに磨きがかかり強い武器になっていく。
歳を重ねるほど体力も落ちるし、頑固な面も出てくる。そうなると、嫌なことと向き合うことはますますしんどくなる。
どうせ逃げられない“課題”は、早めに向き合っておくことがおすすめである。