日本人のイメージのひとつに「時間をきっちり守る」ということがある。
たとえば、首都圏の電車であれば、3分、5分という短い間隔で、きちんとオンタイムで到着するのが当たり前である。
諸外国の人からみると考えられないことである。
そのほかにも営業時間を守る、約束の時間を守るということは当たり前のようにしている。
私は、制作現場で仕事をしており、納期に合わせていかに着地させるかを常々考えているからか、“日本人は本当に時間に厳しいのだろうか?”と思うことがよくある。
そこで、日本人が優秀といわれながらも主要先進国のなかで生産性がダントツに低いといわれる理由を制作現場の視点から考えてみた。
◆コスト意識が低い?!
おもに仕事を発注する側のあるあるなのだが、期限を守らない、予定変更は当たり前でいる。
スケジュールを変更することは当然という姿勢で、相手(現場で実際手を動かす)のことを
考えられていない。自分自身の予定があるように、相手にも予定があるのである。
スケジュールの変更は、多くの人を振り回し、時間を奪っているのである。
◆過剰サービスに慣れすぎている?!
“おもてなし”精神も強い日本は、さまざまなサービスが充実しており、諸外国に比べて無料で
対応してくれる範囲が広いのかもしれない。だから、発注する側は、見積もりの範疇を超えて
いることに気づかなかったり、平気であれもこれもとオーダーしたりする。
◆断れない(仕切れない)
クライアントの要望を聞くことは大事だし、ある程度の範囲は臨機応変さも求められるが、
延々とクライアントの要望を 聞き入れてしまうのでは疲弊するだけである。
予算の追加を交渉する、断る、ラインを引くなど方法はいろいろとあるはずである。
◆相手への配慮に欠ける
自分では些細だと思っている行動が、多くの人に影響を及ぼすのが仕事である。
だからこそ、相手への配慮を考えることが重要になってくる。自分が期限を守らなかったら
相手にどのような影響がどのくらい出るのか?ほんの少し意識を相手に向けてみることが
大事ではないだろうか。
相手の時間を延々と使う、範疇を超えたオーダーを平然と出すことで相手の生産性はどんどん
落ちているのである。逆の立場になったときは、つまり自分の生産性が落とされているので
ある。
◆報酬体系
日本は成果主義という考え方がほとんどない。また、給与が上がらない日本の現状では、
やってもやらなくても一定の給与という構造であり、モチベーションも上がりにくい。
”時給制”という考え方が定着していてるのも原因のように思う。だらだらとやったほうが
多くお金をもらえるというのはおかしくないだろうか。
本来、収入とは働いた時間の対価ではなく、世の中(相手)に与えた価値、ありがとうの
量であると思う。
電車がちょっと遅れたりするだけで、予定が狂う!とイライラした経験がある人は多いのではないだろうか。それと同じである。あなたが、予定どおりに対応しなければ、相手は予定が狂う!のである。時間でも予算でも予定が狂えば、生産性が落ちる原因になる。
仕事は予定調和でいかないことがほとんどであるが、その中でも時間に対する考え方や相手への配慮など目を向けてみることで変えられる行動はたくさんあるのではないだろうか。