日々膨大な情報にさらされている私たち。ひとつひとつの情報をまともに受けすぎて、自分を否定したり、人の目を気にしたりして疲弊していないだろうか。
インターネットが普及した時代に生きる私たちは、膨大な情報を活用しながらも、情報から自分を守る術を持たなければならない。
なぜなら、進化とは消滅させることだからだ。
何かに感情を大きく振り回されてしまう人は、なんでも自分ごと化し、視野が狭くなりすぎているように思う。パコソンの画面に、思いっきり顔を近づけ、体を硬直させながら作業をしているようなイメージだ。
もちろん、成果を上げるうえで、自分ごととして捉えることは大事だ。
要は、一度「すべて他人ごと」として捉えてみる。パソコンの画面から顔を遠ざけ、ゆったり椅子の背に寄りかかって画面を見るようにするイメ―ジだ。
そうすると、ふっと気持ちがラクになり、目の前の情報や出来事がたいして重要なものではないと思えてくる。
私はディレクターとして仕事をしている。多くの関係者をまとめて、作品が納期までに収まるよう進めていく役割である。一番厄介なのは、人間の感情である。それぞれの立場での言い分があり、それをぶつけてこられる。言いたいことは理解できる。しかし、すべてまともに受け止めていたら、自分が潰されてしまう。そうならずに対応していけるのは、「他人ごと」と捉えているからだと思う。この他人ごとというのは、自分のことさえも他人ごとと捉えるのだ。“もうひとりの自分という他人”が、ディレクターとして動いているというという感覚でもある。
自分の行動を思い出してみてほしい。誰かに何かをしたことをずっと覚えているだろうか?おそらく、忘れていることがほとんどではないだろうか。人はそういうものである。
だから、まわりに振り回されるのはもったいないし、賢明ではない。「すべて他人ごと」とまずは一呼吸ついてから向き合ってみよう。