責任感が強い人や、他人へ許可を出せない人は、なんでも自分でやろうとしてしまう。その結果、常に仕事に追われ、睡眠時間も十分に取れないまま疲弊していく。そして、挙げ句の果てには、納期に間に合わないなど周囲に迷惑をかけることになる。
また、自前主義で役割分担をできずにいると、ずっとあなたが働きつづけなければならなくなるのだ。そうならないためにも、周りに仕事を任せていけるスキルが必要なのだ。
なぜなら、適材適所は最小のインプットで最大のアウトプットを生み出せるからだ。
誰かに仕事を任せると、質が落ちるのではないか、ちゃんと仕事をしてくれるだろうかという不安がつきまとう。とくに経営者の場合、お金を払う立場でもあり、自分のスキルと比較して苛立つことも多い。そして「自分でやったほうが早い」と自前主義に陥っていく。
私も、以前は自前主義だった。誰かに仕事を任せることが不安だったり、相手に説明している時間で終わらせられると考えてしまい、自分でやってしまっていた。しかし、業務のボリュームも増えてどうにもならなくなったことと、自前主義では成長できないと感じたことから、思い切って仕事を任せてみることにした。
もちろんスムーズにいくことばかりではない。スキルレベルを見誤って窮地に陥ったり、意思疎通がうまくいかなかったりしたこともある。お金を支払いたくないと思うレベルであっても支払をする。そのたびに、人に任せるとロクなことはないと怒りを覚える。
そこで任せることを止め、自分主義に戻すのは簡単である。しかし、そこをぐっと堪える。相手ではなく、自分に非があったと捉えて次にどう活かすのかの改善点を考えるようにする。そうやって試行錯誤を重ねていくことで、役割分担をしての成果の質があがり、馬車馬のように働く自分から少しずつ抜け出していけるようになった。
自前主義はある意味では楽かもしれない。しかし、大変でも人に任せてみる。時には身銭を切って痛い思いをするかもしれない。けれども、そういう思いをしなければならないときはある。そしてそれを乗り越えるからこそ、肉体労働から解放されていくのではないだろうか。