マネジメントをする人にとって、メンバーの育成は課題のひとつだろう。本人のやる気がない、主体性がなく言われたことしかやらない…などよく耳にする話しである。
しかし、問題があるのはメンバー自身ではなく、マネージャーなど上司であることがよくある。
ちょっと自分の思いとはちがうことをメンバーがしたときに、的確に具体的なアドバイスができない。そうすると、ついやる気だの主体性だのといった抽象的なところに頼ってしまい、あいつはやる気がないから…で片付けてしまう。
現在マネジメントの領域に入っている人たちの年齢層だと、精神論・根性論で乗り切ってきている(そういったマネジメントしか受けたことがない)ことも、原因のひとつかもしれない。
私は、様々なプロジェクトで、メンバーの方をサポートすることがあるのだが、マネジメントの担当者から聞いていた状況と、実際のメンバーの状況はまったく真逆だったりすることが多い。メンバーの問題ではなく、マネジメントに問題があるのである。
メンバーが主体的に動いてくれない場合、以下のようなケースになっていることがある。
1、圧(プレッシャー)を与えていないか
・話しかけにくいオーラを出している(無表情、淡々とロジカルな話し方)
・ミスを絶対に許さない
・すぐに口を挟む
・こと細かに指示をする
⇒人は萎縮すると、本来持っている力を出せなくなるどころか、ミスをするようになる。
常に上司の目を気にし、上司のご機嫌うかがいをしながら仕事をする環境ならば要注意
2、出しゃばっていないか
・元気がよすぎる、目立ってしまう
⇒元気なことはよいことだが、時と場合によってはマイナスな面もあることを心得よう。
あまりの元気よさが裏目にでて、メンバーが遠慮してしまうような雰囲気にならないように
3、愛社精神の強要
・会社のことを好きでなければならない
・自社商品のことを好きでなければならない
⇒好きになれと言われて好きになれるものではないのが人の気持ちである。
好きになってもらえることに越したことはないが、強要するものではないし、
愛社精神がないことと仕事ができるできないは別の話しである
愛を強要するのではなく、愛される工夫をすることに目を向けよう
メンバーのやる気がない、主体性がないと嘆くのではなく、それを奪っているのは自分かもしれないと、”主体性を持って”自分の行動に目を向けてみることが大事である。
こと細かに口を出されたり、いつも前面に出てこられたりすると、「どうせやってもケチをつけられる」「前面に立ちたい人だから、こっちは大人しくしていよう」と、主体性をなくし指示待ちになるのは当然である。
メンバーの態度・行動に不満を持つ前に、自分自身がメンバーが動きやすい環境づくりができているのか見直してみよう。